1998年3月、厚生省が発表した初の糖尿病実態調査では、通院中の糖尿病患者218万人、糖尿病が強く疑われる人は690万人、糖尿病の可能性が否定できない予備軍・境界型を含めると、1370万人にものぼるという、驚くべき結果でした。
これは、日本の全国民の薬1割にあたります。
日本人の糖尿病の95%を占め、生活習慣が大きく関係する2型糖尿病が発症するのは40歳代以上が多く、”糖尿病予備軍”を占めると、中高年の4〜5人に1人となり、まさに、中高世代の現代病です。
糖尿病の初期は特有の自覚症状がなく、いつ発病したのか分からず診断されたときには既に合併症が起きている事が多いのです。
糖尿病の主な症状
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口や喉がよく渇くようになった |
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異様に疲れやすくなった |
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水・ジュースなど水分を良く摂るようになった |
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目がかすむようになった |
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おしっこの回数・量が増えた |
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手足にしびれやピリピリした異常感覚が出てきた |
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たくさん食べるようになった |
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便秘や下痢をするようになった |
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何もしていないのに急に体重が減ってきた |
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水虫や湿疹など皮膚や爪の病気が出てきた |
尿に糖が出なくても糖尿病なのです!
血糖値は食後や空腹時で多少変動しますが、健康な人はほぼ一定に保たれます。しかし、高血糖になって血液中のブドウ糖が増えすぎると、体が血糖値を下げようとする為、尿に糖が混じります。尿糖は、血糖値が170〜180mg/dl位まで上昇しないと陽性を示しません。
ですから、尿糖検査だけでは糖尿病を見逃してしまい、適切な治療を受けられない可能性があります。また、尿糖検査では、インスリン注射や血糖降下薬が原因の低血糖の発生が分かりません。
糖尿病のタイプ
1型糖尿病
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インスリンを作る膵臓の細胞が破壊され、インスリンが作られない為に血糖値が高くなります。
子供の時に発症することが多いですが、大人になってからでも発症することがあります。
急激に発症する場合が多く、インスリン注射によってインスリンを補うことが不可欠。 |
2型糖尿病
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膵臓の細胞からインスリンが充分出ない場合と、肥満や食べ過ぎ、運動不足、ストレスなどによって、インスリンの働きが悪くなる場合があります。
1型同様、ブドウ糖をエネルギーに変えることが出来ず、血液中のブドウ糖が増えて血糖値が高くなります。
日本人の糖尿病患者の殆どは2型糖尿病で、食事・運動療法が基本で、場合によっては薬やインスリン注射を用います。
その他、妊娠糖尿病や、他の要因で起こることもあります。
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日本人はインスリン分泌量が少ない民族
日本人は、遺伝的にインスリン分泌機能が欧米人より弱く、糖尿病になりやすい遺伝素因を持っています。糖尿病の成因として、このような遺伝素因に加えて、食生活の欧米化、運動不足が大きく影響し、その他、加齢、妊娠・出産、感染症、ストレスなどが挙げられます。
日本人の間で糖尿病が増え始めたのは昭和40年前後からです。この頃は東京オリンピックの開催、テレビや洗濯機などの家電が一般家庭に普及し始めた時期で、食事の欧米化に加え、車などの普及により、運動不足が急激に進みました。
糖尿病患者は年々増加傾向にあり、赤ちゃんからお年寄りまで含め、約9人に1人に相当し、人口から考えると、かなりの数になります。
血糖の調節
消化された食事中の糖分(ブドウ糖)は腸から吸収され、血中のブドウ糖の値は急激に上昇します。
それに速やかに反応して、膵臓からインスリンが放出され、筋肉・脂肪組織・肝臓などの細胞へのブドウ糖の取り込み促進されて、血糖値は正常に維持されます。
この血糖の調節過程で重要なカギになるのが細胞のインスリンに対する感受性です。
細胞表面にはインスリン受容体があり、インスリンが結合すると、細胞内への糖の運び屋であるブドウ糖輸送担体が活発化されて、血中のブドウ糖を細胞内へ運び入れます(右図)。 |
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糖尿病予備軍では、この細胞におけるインスリンに対する感受性の低下が生じている事が指摘されています。インスリン感受性が低下すると、インスリンの効きが悪くなって血糖値が下がりにくくなり、更に膵臓はインスリンを増やして血統を下げようと反応しますが、その時期が長く続くと、膵臓が疲弊してインスリン分泌が通常より低下していき、最後にはインスリンを作り出す事が出来なくなるという悪循環で、「糖尿病」になります。
糖尿病の合併症
糖尿病は、初期に自覚症状が健著に現れる疾病ではありませんが、合併症状が現れて初めて糖尿病である事が判明する場合も少なくありません。
糖尿病になると必ず合併症を起こすわけではありませんが、放置したままで様々な病気を引き起こす事が糖尿病の恐い所です。
急激に血糖値が上がって意識を失う糖尿病性昏睡になると命にも関わります。傷が治りにくく、感染を引きこしやすいのも糖尿病の特徴です。足を常に清潔にし、傷のチェックなどのフットケアや、歯周病対策として歯科の定期検診を心がけましょう。
| ●主な合併症 |
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3大合併症
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糖尿病網膜症 (失明の原因の第一位)
糖尿病腎症 (人工透析の原因第1位)
糖尿病末梢神経障害 (重症化すると壊疽) |
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動脈硬化による疾患
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脳梗塞、心筋梗塞、閉塞性動脈硬化症(重症化すると壊疽)など |
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感染症
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肺炎、腎盂腎炎、尿路感染、壊疽など |
糖尿病のコントロール
合併症を引き起こさない為に大切なのは、血糖値のコントロールです。コントロールの指標は、血糖値の他、過去1〜2ヶ月の平均的な血糖値の状態を示すヘモグロビンA1cです。
血糖値は、測定の前日に食事を控えれば下げる事は出来ますが、A1cを見ると、その人のコントロールの良し悪しが直ぐに分かります。ヘモグロビンA1c(HbA1c)は、健康な人は4.3〜5.8ですが、6.5%以下なら良いコントロールとされています。
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正常 |
境界型IGT(予備軍) |
糖尿病* |
*表の値を2回以上確認。または1回確認し、かつ糖尿病症状(口渇・多尿・体重減少など),糖尿病性網膜症,、HbA1cが6.5%以上のいずれかを満たすもの
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朝食後血糖値
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110未満 |
110〜125 |
126以上 |
| 随時血糖値 |
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200以上 |
| 75g糖負荷後2時間値 |
140未満 |
140〜200未満 |
200以上 |
最近は小型の血糖測定器が売ってますので、インスリン自己注射をしている人だけでなく、血糖コントロールの上手く行っていない人や妊娠糖尿病の人は進んで自己血糖測定をする事をお勧めします。また糖尿病の治療では、血糖だけでなく、肥満・高血圧・高脂血症のコントロールも重要になります。
高血圧・高脂血症は糖尿病網膜症や糖尿病腎症などの合併症に悪影響を与え、更に動脈硬化を進めます。 肥満・高血圧・高脂血症・糖尿病の4つ揃いを「死の四重奏」といい、動脈硬化になる可能性が極めて高いとされています。
糖尿病は人によって原因も症状も様々ですから、治療目標も異なってきます。治療は主治医と良く話し合い、薬局でも良く話しを聞き、上手に糖尿病と付き合いましょう。
予備軍の時の対策が何よりも大切
最も効果的に糖尿病を予防できるのは、糖尿病を発症する前の段階で、血糖が少し高めかインスリンの値が高い、糖尿病予備軍の時期です(ストレスがドドンッと来た時などは特に注意を!!!)。
糖尿病予防には、急激な食後血糖の上昇を抑えて血糖をコントロールする事、積極的な運動を行う事が重要なポイントになります。
また、糖尿病患者の8割が肥満を経験しているとも言われており、肥満という、糖尿病になりやすい体質を持つ人が過食を繰り返した結果、インスリンの働きが低下してくることから、糖尿病になりかかっているときに、積極的にカロリーを考えた食事とダイエットに心がけ、健康な状態に戻して行く事が大切です。
一人で勉強したり、治療に取り組むのはなかなか難しいものですが、専門医や病院は糖尿病教室などを行っている所もありますし、また、短期間の教育入院を実施している病院もありますので、参加してみるのも良い方法です。
食事のポイント
1日の総カロリーを調節する事と、食後の血糖上昇を抑制する事が重要です。この血糖の上昇カーブをなだらかにすると、HbAlcの上昇も低くなり、合併症の予防につながります。つまり、食事療法のカロリーコントロールと、食後高血糖の抑制を考えた食事を考えましょう。
うどんやパスタ、そうめんなどの麺類や、パンなどの粉から出来ているものは、消化・吸収が良い為、病気のときや、夜食、運動する時には良いですが、吸収が早い為、血糖値の上昇も早いのです。
出来るだけお米を食べて(食べすぎては意味ありません)、腹持ちを良くして間食しないように気をつけましょう。食品のカロリーブックや、糖尿病の食事の本も売ってますので、参考にして下さい。カロリー制限しても、結構食べれますよ。
肥満の予防
糖尿病予備軍の中で特に注意すべき人は肥満の人です。それには子供の頃から肥満にならないような注意が必要になります。
そして、出来るだけ高脂肪食(揚げ物やファーストフード、洋食など)を避け、食物繊維の豊富な食材を一緒に摂るようにして脂肪の吸収を抑制したり、たんぱく質・ミネラル・ビタミン・炭水化物をバランス良く摂りましょう。
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